NAPPプロジェクト(2007,08,09年度より継続)

NAPPプロジェクトは、2007年度に始まり長期継続中の研究プロジェクトです。
当プロジェクトの目的は、現代人のライフスタイルにフィットする新しいニュースメディアをデザインし、新聞社や通信社などに対して積極的に提案していくことです。
(2009年度SFC-ORFのため制作したパネル)
「若者の新聞離れ」が声高に叫ばれてきた現代ですが、2006年に武山研究会が行った調査では、学生の多くはむしろ新聞を読みたいと感じていることが分かりました。また、およそ半年間にわたり基づき幾度もフィールドワークを行い、人々が新聞やその他のニュースメディアに接触している状況を徹底的に観察することで、現在のニュースメディア環境をより豊かにする方法を模索してきました。
そうした活動を通して得た私たちの考えは、携帯電話やパソコンのような多機能機器でニュースを読むのではなく、ニュースを読むことに最適化されたメディア機器が必要だということです。
携帯電話やパソコンのような多機能機器は、いわば十徳ナイフのような存在です。それらは色々な用途や機能を1つにまとめるために、あらゆる入出力を、大きさや形状が限られた貧弱なインターフェイスに割り当てています。多くのことができる反面、ひとつひとつの体験に最適化されたインターフェイスではありません。
もちろん、普段から十徳ナイフで料理をしたり工作をしたりする人はいませんが、こと情報取得といった分野になると、携帯電話やパソコンで満足してしまう人が多いのではないかと思います。
しかしそれでは、人が機械に合わせて行動することを強いられるためストレスを生みやすく、多くの人々にとっては豊かな体験を得るのは困難です。人と道具とのインターフェイスが制限されていることに気付かないことで、より良い体験を得る機会を失っているとも言えます。しかるに、情報取得の道具についても、人の身体感覚に合わせたデザインが必要です。
ニュースメディアが多様化した現在では見過ごされてしまいがちですが、即時性の高い情報発信を重視するあまり、新聞が担っている「昨日の日本を、短い時間で概観する」機能が軽視されつつあります。
一方で、従来の新聞は、継続的な情報発信の"型"を作った最初のメディアですが、大量に生産する印刷物であることに最適化されたデザインであり、こちらも画面サイズや取り扱いの面では人の身体感覚に合わせたデザインではありません。
NAPP Projectは、上記のような認識に基づき、新聞を現代人のライフスタイルにフィットさせられるようデザインし直す活動をしています。NAPP(ナップ、"Newspaper Appliance"の略)とは、読み心地までデザインされた電子新聞専用端末の、開発コードネームです。
2010年3月、日経新聞の電子版がスタートしましたが、パソコンで新聞を読む人の数はこれからどんどん減っていくという根本的な課題を抱えるでしょう。その翌月にはAppleからiPadが発売になり、iPad向けの新聞や雑誌のアプリケーションも出はじめていますが、iPadはリビングユースをターゲットとしているため、屋外や外出先での使用には向きません。パソコンやiPadなどではどれだけすぐれたアプリケーションが出てきても、日本人の新聞利用スタイルに合わせたデザインにはなりえません。
日本の地下鉄で、日本の街中で、日本のカフェで、日本の食卓で、寝室で、、私達自身の生活をよく振り返ってみれば、毎日ページをめくりたくなる電子新聞は、まさにNAPPのような形をしていると、私達は考えています。
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NAPPスケールモデル 製作段階
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NAPPスケールモデル(Prototype 2.0)
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端末のサイズは新書よりわずかに大きい程度です。
NAPP 画面イメージ
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旧来の新聞紙面と似たルック&フィールを備えて一覧性を確保しつつ、一覧画面と記事詳細を自在に行き来しながら読む表示方式などを開発しました。見出しや記事の大きさ、位置など紙面レイアウトの持つ意味は非常に重要な役割を持っていた紙の新聞を、新書程度の大きさに縮小する新しい方式です。
また、これは同じデータを様々な画面サイズやスタイルシートに対応させやすい表示方式でもあります。
インターネットによってマイクロコンテンツ化が進む時代だからこそ、編集、パッケージング、レイアウトといった「新聞らしさ」は強調されるべきではないでしょうか。
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2008年にはハードウェアのモックアップと画面イメージのFlashアニメーションによるデモンストレーションを行いましたが、2009年に実際にタッチパネルに触れることで動くデモ機を開発しました。(デモ機はSFC ORF 2009に出展されました。)
現況
研究メンバー
三谷忠照、勝田良介、
大前佑樹、川崎文洋、佐藤直哉、中山徹、増田隆司、村山友崇、
安藤直人、西谷麗、鈴木雅陽、カミヤヒサヤス
代表 三谷忠照
Twitter: @tadateru,

2008年06月27日| 2007年度ニュース班