ARG班
現在、「シリアスゲーム」と呼ばれる、デジタルゲームを活用し社会問題の解決に役立てようとする取り組みが世界中で脚光を浴びている。日本においても昨今の”脳トレ”ブームに見られるように、デジタルゲームという動的でインタラクティブな表現メディアに対して、新しい価値と用途を見出そうとする考え方が開発者・利用者双方で急速に拡大しつつある。これはかつてマンガが教育メディアとして認知されるに至った流れを なぞっているともいえよう。
しかしながら、シリアスゲームは現在その研究領域をデジタルゲームのみに絞ってしまっていることから、ある大きな問題点を抱えている。それはその性質上、ゲーム利用がパーソナルかつバーチャルな体験に限られてしまっており、社会的・集合的なムーブメントや実際的な現実での行動喚起に役立てることができていないという点である。デジタルゲームはその誕生以来いかにして人を熱中させるかという一点に取り組み続けてきたことによって、仮想世界におけるプレイヤー心理デザインや世界観表現の手法を確立することに成功してきた。だがもはやこれらのノウハウは一個人の脳内を充足させるためのものだけに留めておくべきではない。ゲーム旧来の技法に加え、オンラインネットワーク活用によるユーザー協働の演出や、ユビキタスIT活用による実世界との連動などの要素を組み合わせることで、社会問題解決に対して既存のシリアスゲームよりも効果的で総合的なアプローチを模索できないかと私たちは考えた。
そこで私たちが目をつけたのが現在米国を中心に盛り上がりを見せている新しいゲームジャンル「代替現実ゲーミング(以下、ARG)」である。ARGは架空の現実的ストーリーをウェブ(サイト・ブログ・SNS等)と日常に溢れる様々なメディア(メール・雑誌・街頭広告等)を複合的に用いて表現するゲームであり、ストーリーを展開させるためには他の参加者と協力しながら現実世界において行動を起こすことが求められる。まるで映画の中に入りこんだかのような深い没入効果を得られることから、米国では「没入感マーケティング」として製品やコンテンツのプロモーションに活用されることが多い。またARGは没入効果だけでなく現実世界における実際的な行動喚起を求めたり、共通の目的達成のための協働を生み出すことができる。これらの特性を効果的にデザインすることが出来れば、先に述べたような社会問題解決に向けた実空間における集合的なムーブメントを引き起こすことが可能になるのではないだろうか。
2007年度はこのような考えを出発点とし、いわば「シリアスARG」なるものを日本において実現させるべく研究を開始した。まずはARG自体の本質理解を進めるために実際にARGを自分たちの手で実験制作し、またそこで実験参加者から実験への評価を得ることで、制作側・運営側・利用側のそれぞれの立場からの総合的な理解を目指した。(実験概要については付録の写真と動画を参照のこと)次年度はここで得られた評価や経験をもとに、さらなる実質的な研究・調査を行っていく予定である。
実験イメージ図
実験風景
実験アンケート
※実験終了時に教室内にて流したムービー
準備中です。しばらくお待ち下さい。
2007年度研究内容
・ARG、シリアスゲームの体験・文献調査・基礎研究
2008年度研究予定
・ARG、シリアスゲームの体験・文献調査・基礎研究